Yamotty Blog

プロダクトマネージャーの雑記

2013/7/19 YahooとGoogle、対照的な2つ復興支援のかたち

2013/7/18 思い書き

色々な企業・団体とガッツリ組みながら、企業リソースを引き出して東北へできるだけ適した形に整えて注ぎ込む、というような仕事をしている関係上、東北へ向けた企業や個人の思いの違いや差異を感じる機会が増えて来ました。とりわけ興味深いのは、ヤフーとグーグルという国内外で巨塔としてそびえ立つ2つのIT企業のスタンスの違いです。一言で言うと、「自分が(将来)東北の地で稼ぐことでまちづくりを盛り立てよう」とする、”自己主体型”のヤフー。そして「地域の事業者やこれから起業するような新しい芽を後ろから支えていこう」とする”あくまで黒子型”のグーグル。
この差が綺麗に見て取れるような記事を以下で紹介させてもらいます。

ヤフーCSR報告書から見る、復興支援へ向けたスタンス

以下に復興支援室 須永さんの記事を紹介させて頂きます。下記の引用に滲み出ていますが、腰を据えて事業の黒字化、そしてマネタイズを図っていこうとするアグレッシブな「ビジネスで勝つ」姿勢を表現されています。
社会価値を生み出してお金を稼ぐ、というモデルはこれまでマネタイズしていくこと、そして収益化していくことに大きな障壁が3つあると僕は考えます。1つは「稼ぐな」という世間からのプレッシャー、2つめが社会価値(バリュー)をプライスへと変換する価値観を持った人間・団体がごく僅かであること、3つ目はソーシャルビジネスへチャレンジするパイの少なさです。日本はいわゆるソーシャルビジネスに関しては後進国であり、アーリーアダプターたる組織の名前もなかなかでてこないような土壌です。そんな中、自らが主体として超アグレッシブに地方での問題解決を通じて金を稼ぐというスタンスなのがヤフーだと言うのが僕の認識です。非常にビジネス寄りの取り組みで、弁当ひとつとっても、とにかく「石巻発の付加価値」を模索していることがよくわかります。

復興支援”活動では終わらせない”。復興支援”事業”への挑戦。

「ヤフー石巻復興ベース」を立ち上げた2012年7月は、他の企業やNPOなどが現地から徐々に引き揚げ始めていたタイミングでした。そんななか、見た目にもお金がかかっていそうな事務所がつくられて、それなりの大人数が常駐している。さらに、社長を始めとする役員たちや大勢の社員たちが入れ代わり立ち代わりやってくる。
そんな状況があってこそ、地元の方にも「あ、こいつら本気なんだな」と思っていただけるようになってきました。最初は様子見していた人たちも、徐々に積極的に関与してくれるようになり、そこからは、以前よりも深くコミュニケーションが取れるようになり、売り上げも飛躍的に伸びていきました。
すべてがマイナスからスタートしたプロジェクトが、今では、売り上げ記録を毎月更新し続け、EC専業企業にも引けをとらない売り上げをあげるまでに成長しています。

われわれ自身にとってもまだ多くの課題が残っています。まずは、経営陣からも口をすっぱくして言われている「事業として収益を上げる(黒字化する)」という点は早急に解決しなくてはなりません。(中略)もちろんそれは、「復興支援でもうけろ」という意味ではなく、復興支援を継続していくために「収益を上げろ」という意味で、たとえどんなに素晴らしいことをやっていても事業として収益が上がっていなければ、いろんな理由で事業をたたむ可能性が出てくる。営利企業である以上、なにかあったときにまず不採算部門が削られるというのは当然のことだからこそ、そうならないために、復興支援を長く続けるために、早く単体事業として黒字化をしろ、ということです。やはり、長く継続的に活動を続けていくには、事業として展開していくことは必須だと考えています。

そして今年、新たなチャレンジとして、人を育てることに取り組んでいきたいと考えています。(中略)ネットを使って課題解決をしたり、ITビジネスができる人材をもっと増やしていきたいのです。今までネットを使っていなかった方に対して、その人たちにあわせて環境を整えたり仕組みをつくったりすることで、IT人材の底上げができればと考えています。
(中略)石巻でのわれわれの取り組みも、言うならば会社にインキュベート(育成)してもらっているようなものです。それができるのは企業としての力があればこそで、個人には絶対にできない。そこにこそ企業が、ヤフーがやる意味が生まれてくるのだと思います。
会社によってインキュベートされたわれわれが、今度はその力を使いながら、地元の人たちと一緒になって新しい何かをインキュベートしていく。そんなことに取り組んでいきたいと思っています。

ヤフーとは対照的なGoogleの復興支援へむけたスタンス

グーグルの復興支援へ向けたスタンスはヤフーとは対照的です。
こちらは本日7/19付け、福島日報の朝刊。昨日7/18に福島県とGoogleとの間で包括的な「復興協定」が締結されたと報じられています。

2013/7/19 県とグーグル協定締結 ストリートビュー、復興に活用

本県の現状を世界中の人に正しく理解してもらえるよう、カメラを搭載した車両を走行させて撮影した画像をインターネット上で公開する「ストリートビュー」の提供エリアの拡大を盛り込んだ。ビジネス面では復興を担う起業家を育成する県の事業と連携して、セミナー開催やITツールの活用支援などを行う。防災面では、避難所や避難経路などの県の情報を同社の災害対応サービスを通じて迅速に県民に提供する。

Googleの復興支援はあくまで黒子。記事を見てもらえるとわかりますが、彼らにとって主語は自分でなく、あくまで東北の住民であり、事業者です。表立ってGoogleが東北を盛り上げます、とは絶対に言わない。
たとえば東北の事業者をサポートを全面に掲げたこちらのプロジェクト、イノベーション東北もその一例。サイトのロゴにも「Supported by Google」と書かれているとおり、プロジェクトの主体者はGoogleではないのです。

イノベーション東北では、インターネットを通じて企業や個人が力を結集し、東北のビジネスやコミュニティの復興を加速させることを目指します。震災発生から3年目の今だからこそインターネットに出来ることに、皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。

「これからの東北を支えていくのは誰か?」という命題への答えが、2つの企業のスタンスの差異に現れていると感じます。

個々からは個人的な考察ですが、Yahooのような事業型よりも、地域を再生・創造していくという意味ではGoogle型の取り組みの方が持続性とスケール力に長けていると考えます。たしかに両者とも巨大なブランド力や集客力がある企業ではあるが、持続していく・スケールしていくという観点で見るとどうしてもマンパワーは必要になります。その意味で、多くの人と緩やかに手をつなぐ、イノベーション型のGoogleの取り組みのほうが、数名の優秀な社員を現地に貼り付けなが、プロジェクトの主体主として回しているYahooよりも期待感があります。しかし、だからこそYahooの石巻や東北へのコミットには素直に感嘆し、個人としてそのチャレンジを強く応援しています。

スタンスはどちらにせよ、ステークスホルダーが増えて、みんなで何かが作れる、つながりのある未来を描ければそれでいいのだ。