Yamotty Blog

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組織論や戦略よりも大事なのは個の実行力である。

組織論や戦略よりも大事なのは個の実行力である。

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FBより拝借。

http://www.47news.jp/sports/turnover/column/mizuno/147066.html
を読んで。

著者は京大フットボールの礎を築いた水野彌一監督。京大という国立大学の壁を超えて、推薦入学を使わない(使えない)チーム作りで日本一を達成している、フットボール界のレジェンド。ちなみにアメリカンフットボール業界の人間は、フットボールといえばアメリカンフットボールを指す。世の中的にはフットボールといえばサッカーを連想すると思うが、迎合しない。

水野氏は現在、関西リーグの追手門大学の総監督をしており、先日行われた大学世界選手権のHCも務めていらっしゃって、ほんとうに元気だなぁと思うばかり。
アメリカンフットボールは日本で競技人口数万人程度の極めてニッチなマーケットなのですが、大学・社会人スポーツとして100年以上の競争の歴史と、そもそも上位チームは1チームあたりの所帯数が100名を超えることも少なくなく、そういったアンコントローラブルな組織と競争の世界で、リソース(選手の能力)に頼りきらずに、実行力の極めて強いチームを毎年作りあげる、組織づくりの第一人者だ(と業界では間違いなく認知されている。はず)。その功績はしばしば経営者からも模範とされることも多く、例えば昨年はGlobis.TVにてLIXIL藤森社長、コニカミノルタ松崎社長らを前に、その洗練されたチーム経営・リーダーシップ論を語ってる。
https://www.youtube.com/watch?v=brHILNb9GWI

以下の文中の彼の一節に、自身の現役時代を思いかえす。

今、一番心掛けていることについて。我が国のフットボール最前線を見ると、前にも書いたがカレッジフットボールの影響か、選手をチームに組織しその力を生かしてどうゲームに勝つかということが、コーチングの主流となっている。しかし、追手門のように力のある選手があまりいないチームはどうしたらいいのだろう。いくら良いプランを立てても、それを実行する力がなくては、勝利はあり得ないのである。
対戦相手に対抗できる選手がそろっておれば、チームを仕上げることに集中すればよい。しかし、弱いチームはまず選手を強くしなければならないのである。こういう未完のチームでは、チーム練習より個人が自分を強くする。個人のための練習の方が、はるかに大切なのである。

懐かしいのは、僕のいたチームに入部するプレイヤーの質は、全国と比してももとても弱かったこと。正確には、選手間のポテンシャルのばらつき(ボラティリティ)がすごかった。だから、環境は文中の追手門ととても似ているし、境遇をとてもクリアに想像できる。そう、いくら素晴らしい戦略も、選手個人の底上げをしなくては機能しなかった。うんうん、そうだそうだ。

だから、僕らの組織づくりは「この実行力が比較的低い」を前提にしたところから始まる。
この前提を飲み込んで、組織戦略を描くところに、弱小なりの強さがあったと思っているし、現に関東一部リーグ校を打破する結果につながることもあった。

何が違うか。

我々は、戦略有りきのゲームプランなど作らない。幹部がチームを作るときには、選手80名をつぶさに見て、ひとりひとりのパーソナリティから戦力値を総合的に判断する。その少ない戦力を最大化できる戦略を、”人”から導き出すのである。間違っても戦略や戦術が先に来ることはない。

「あいつはセンスが有る」「タックルが下手だけどオフェンスにコンバートしたら使えそう」
「モチベーションが保てなくて辞めそう、年間の戦略図には入れれないのでは」
といった生々しい会話から、自身も含めた全プレイヤーを丸裸にする過程は辛くも有り楽しくもあった。
そして、戦力を最大化出来るよう、およそ3ヶ月ほど脳みそに汗を書き続けて創る年間のベースの戦略・戦術が詰まった「Playbook」は幹部の魂だったと思う。

人を見ながら、パフォーマンスを最大化する戦略・戦術を練る。
しかしながら実行のフェーズでは、確度を高めるために、最適化、すなわち人の再配置を行う。想定したパフォーマンスを生み出せないケースなど日常茶飯事で、実行フェーズでも、個の実行力に立ち返って、配置換えによって修正を施すのである。こうやって、戦略を生むときには人から。動かすときには、また人に帰る。
この繰り返しをしながら、最終的にはPlaybookは完成していき、1年間のチーム作りに色が生まれてくる。

少し発散しているが、締めに何を言いたいか。
この経験から僕が組織を作るときに意識することは多分この先も変わらない。以下がポイントかなと思っている。
・戦略とは実行された初めて価値を持つ。なので、大事なのは個の実行力である。個が実行できる範囲を超えた戦略は、ハナから作らない。
・戦略を実行するフェーズでは、また個人をつぶさに見ることが必要。そして、新たなリソースを必要とせず、マネージャーが組織のパフォーマンスを最大化する手段は有る。それが配置換え。
・エフェクティブな配置換えを行うには、最先端の現場で、一人ひとりをきちんと見ている人間に、その権限を託す。