Yamotty Blog

プロダクトマネージャーの雑記

C向けサービスのプロダクトマネジメントの楽しさと難しさ

僕はユーザーへダイレクトに価値を届けるtoC向けのサービスが好きだ。

新卒時、総合商社の面接を受けているときは口先だけ上手くて、toCのサービスがやりたいですと面接でよく言っていたものだが、総合商社こそBtoBの商流のまっただ中にいる仲介人なわけであまりtoCのサービスは提供していない。 そんなことも調べずに良く受けていたものだ(よく採用していただいたものだ)。

toCプロダクトの面白さ

toCのプロダクトを創り提供していくことの最大の面白みは矛盾する2つの感情に分かれる。

  1. マーケット : 人の数 >>>> 会社の数 なので勝負できる人口マーケットのサイズが大きい。サービスがヒットする瞬間のダイナミズムや爆発力を感じられる点がtoCプロダクトの醍醐味だろう。
  2. メンタルエンジニアリング : 多様なユーザーに対応するために、感情をエンジニアリングしないと絶対にヒットしないというプロダクトの頑固さであり、それがプロバイダーのやりがいにもなっている。

「いずれもプロダクトの価値を高める = 多種多様なユーザーに価値を届ける」というtoCならではの前提が起点になっている。一方で「多くのユーザーに使ってもらって爆発すること」と「個別の心理課題を解決してプロダクトを良くする」の間のジレンマを認識して、その間を埋める能力がセンスだといえよう。

toCが向いている人の特徴

toCのプロダクトを創るのが得意っぽい人の特徴を挙げてみた。(ただしより前提となる、情報感度が高かったり、ネットワーキングが上手かったり、数字に強かったりなど良いサービサーであるための特徴は抜いている。)

  • 人のコミュニケーションの観察が好き(自分がそこにいるかどうかは関係がない)
  • SNSの使い方が上手い(火傷しない)
  • 口語調の文章を好む
  • 性善説80%、でも20%は疑っている

上のリストを鑑みてひとことで言うと

人をよく理解していて、距離の取り方が上手い人

というのがtoCサービサーに向いている人といえる。たしかに素晴らしいプロダクトはどれもユーザーとの距離感が絶妙だなと思うのであながち間違いじゃないかもしれない。

ちなみに僕は口語調の文章も上手くかけないし、SNSの使い方もそこまで上手くないので

toCが好きだがそこそこ向いていない人

という評価になる。うーん、残念だがあたっていそうだ。

逆にtoCが好きでかつ向いていそうだなと感じるのはnanapi/Supershipのけんすう (id:kensuu) さん。長いことコミュニティサービスを運営されてきた経験もあって、ユーザーとのコミュニケーションや距離感の哲学が洗練されている。プロダクトにも反映されてますね。

toCプロダクトを成長させるためにPMが注意するポイント

toCサービスはスケールと心理読解の面でジレンマを抱え、そのギャップを埋めるにはセンスが必要。「人の理解や距離感のセンス」にさほど自身のない僕のようなプロダクトマネージャーでも、プロダクトを伸ばすために以下のようなポイントを抑えることで地面に足のついた成長は可能なんではないかと思っている。

  • 万人の心理理解を諦める。代わりにプロダクトがスケールし始めるフェーズでも、特定の誰かにフォーカスし続ける。意見を聞きすぎない。
  • ユーザーである自分とプロバイダーである自分を分ける。その上でユーザーとしての自分を信じない
  • プロダクトの満足度を図る方法をたくさん持つ

特定の誰かにフォーカスし続ける

プロダクトがグロースしてくると、それこそ数万、数十万というユーザーが使い続けるようになる。すると「良いプロダクト」を意思決定するために、ユーザー全体の満足度の折衷案を探るという方法は現実的ではなくなる。そもそもそんなに多くの人の心情を読み解けるのであれば僕は明日からスティーブ・ジョブズだ。

おすすめはフェーズに応じてきちんと対象(それも目に見える、体温のある人)を置くことだ。もちろんシード期とグロース期では対象になる人が変わることもあり得るが、ユーザーを見るという行為は数少ない対象を深く掘り下げる方が良いと思う。

大勢の傾向を知りたい時にはデータを見ればすむ話なので(そしてPMはデータを見まくっているだろうから)、ダッシュボードの外の、生身の誰かに目を向けることを忘れずにやりたい。

自分を信じない

ユーザーとプロバイダーが意識するポイントは違うことを認識しよう。「そして私はわかってない」と10回唱えて主観を捨てる。禅である。

満足度を図る方法をたくさん持つ

最後は方法論だが、プロダクトの満足度を多角的に評価することで、自分の理解できない範囲を少なくするというのは実用的な解だろう。

測り方はたくさんある。

  • データ : 継続率、CVRなどを見ていく(高い人と低い人)
  • インタビュー : 実際にきいちゃうのも手だ
  • 動画を撮る : reproなどツールもそろってきてます
  • NPS : 顧客満足度を測定する体系的な方法論がもうあります

特にNPSはSlackが重要視していることも知られている。 マイシェフの 清水 (id:smasa0810) さんもこの手法を重点的に使用し、運用のtipsを公開している(僕も導入したい)

smasa0810.hatenablog.com

smasa0810.hatenablog.com

NPSという方法論だけではなく、データにしにくい顧客満足度をいかに定量的に測定し、プロダクトへ反映していくか、という視点では以下の本がおすすめだ。

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

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まとめ

  • toCプロダクトは良くも悪くもPMやオーナーのセンスが成長のドライバーになる側面が多い。
  • まず自分はセンスがあるかないか、正しく自己認識を持った上で、処方箋を使っていくのが良さそう。
  • 逆に「ユーザーの欲しいものがわかる」というタレントも少なからず見てきた。彼らは説明もなしに異常な成長を見せるプロダクトを定義できるが全体の0.01%程度だろう。
  • 僕のような天才ではないPMにおいては、ユーザーとの距離感というセンスを、過信せず、丁寧に取っていくことでプロダクトを成長させる地道な方法をとるのが良いのでは。