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Yamotty Blog

プロダクトマネージャーの雑記

『メルカリ アッテ』 - グローバルを狙うモバイルクラシファイド

プロダクトインサイト vol.1

本ブログは「プロダクトマネージャー」という職業やその役割を言語化し、プロダクトを創造するという役割へ関心をもつ層へリーチすることを目的に半年ほど運営してきた。幸いなことに時折おきる”小バズ”によって数千から時には数万の関心層へ読まれるメディアになりつつあり、およそ関心層へはリーチしきった感もある。

他方で僕は『C向け』x『モバイル』のプロダクトが好きだ。

自分が作っているプロダクト、関わってきたプロダクトもすべてこの的に当てはまる。C向けプロダクトの最大の面白さは、ユーザーへダイレクトに価値が届いた際の反応(「プロダクトの鼓動」的な)を感じられること。そしてそのスケーラビリティ。さらにスマートフォンという「すべての人が1台は保有する」デバイスとの相性が抜群に良いこと。その魅力は近年更に僕を虜にしつつある。

スマートフォンは人類史上最も生活に密着したコンピューターだろう。スマートフォン、そしてC向けプロダクトの普及によって我々は新しいデータ、そこから顕在化される課題、行動特性、そして示唆を手にしつつある。これらが火種となって「人の生活を変える」プロダクトが生まれ、社会に突き刺さることに僕は強い期待感を持っています。モバイルこそ「人の生活を初めて可視化した」と思うし、モバイルを通じた社会ソリューションは「これまで」より「これから」が本番だとも思っている。

そんな経緯もあり、僕が勝手に気になる『C向け』x『モバイル』プロダクトについて考察してみようという「プロダクトインサイト」という企画を開始する。

その第一弾はスタートアップ関係者が最も気になるだろうプロダクトの一つ、『メルカリ アッテ』を取り上げる。

『メルカリ アッテ』概要

  • ジャンル : モバイル・クラシファイド
  • 領域 : 物々交換・人募集・採用等、いわゆるクラシファイド全領域
  • ビジネスモデル : 不定(プラットフォームスケールを目指すため当面はマネタイズしない意向の模様)
  • デザイン : タイムライン x チャットUI
  • キャラ : ニャッテ(かわいい)
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海外モデルケース

『Craigslist(クレイグズリスト)』

  • あまり日本では馴染みのないサービス名だが、USにて1995年にローンチし、その後は日本(東京)を含む計50カ国で展開。日本だとあまり馴染みがない。
  • 極めてシンプルなHTMLとCSSで構築されたPC時代のwebサービス。物々交換や出会い、求人など様々なコンテンツをユーザーが掲載。
  • ビジネスモデルは広告モデル
  • MAUは6,000万を超える
  • Next craigslistとしてはnext door, HelloMarketなど各国で次のプレイヤーが出始めている
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日本のマーケットと他サービス

日本でのクラシファイドサービスはまだ歴史が浅く、プレイヤーも少ない。特にモバイル領域はぽっかりと空いており、アッテはこのマーケットを緻密なリサーチで”発掘した”とも思える。代表の松本氏のインタビューからもマーケットインの思想が伺える。

TheFirstPenguin

僕は普段、サービスを作るとき「自分が作りたいものを作る」という考え方はあまりしません。今の自分の環境だったり強みだったり、必要とされることから逆算して進める決めています。 (以前、女性向けサービスをたくさん作っていたのも、当時そこがスイートスポットで、最初のアプリが当たったからなんです。自分がその領域好きだったわけじゃないんですよ、ホントに)*1

TechCrunch

「会って、手渡し」という世界観を目指しており、決済システムを用意する予定は直近ではないようだ。そうなると、売ります・買いますという相手の信頼性が気になるところだが、「メルカリでの評価情報を始めとして、信頼性をグループでどう作っていくかは課題。カスタマーサポートもメルカリチームと連携してやっていく.CtoCは信頼できるかが大事だと考えている」*2

日本ではクラシファイドサービス自体の勝ち組がまだ存在せず、特にモバイル領域でベンチマークできるサービスとして以下の2つを挙げてみた。

ジモティー

  • すでに5年ほど運営されている日本最大級のクラシファイドサービス『ジモティー)』。領域は全方位だがよく使われているのは「売買」「〜友募集」。
  • タイムラインよりディレクトリ式(階層を下ってシーズを探す)、まさにCraigslistの日本版というポジション
  • モバイルではweb/アプリへの対応済みだが、モバイルという限られたスペースのなかでディレクトリUIという戦い方は難しさがありそうだ
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clip

  • マザーズ上場企業ドリコムが手掛けるモバイルアプリ&ブツブツ交換特化のクラシファイド。2月にリリース後、こまめにリリースがなされている模様
  • signup時に電話番号を使用したSMS認証&ソーシャルログインの両方を強いることで実名による信用取引
  • メルカリやFrilなどのフリマアプリライクなタイムラインUI。C2CアプリだとどうしてもこのUIが避けられない感あり
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アッテ何がcutting edgeなのか?

海外・国内のクラシファイドサービスと比較してアッテの尖った部分。それは信用評価にあると思っている。

  • クラシファイドの最大の肝は「この人と取引して(会って)大丈夫?」という信頼面。出合い系として使われてしまいサービスが”荒れる”傾向もあるため、重厚なCSも必要となる。CSでフックする以前に以下にユーザーの信頼度を測るか?というのが大きな論点になるが、アッテの最大の強みはこの信頼度評価にあると思う。
  • アッテはメルカリと共通IDを利用した取引履歴によってユーザーの信頼度を評価する。トランザクションが増えるほどアッテにおける信用のデポジットが材料がふえるため、メルカリとアッテは車輪の両輪の働きを成す。
  • 海外サービスでは基本的に実名制、本人確認登録などの高いハードルによって信頼担保している。この取引ベースの信用DBというのはメルカリとのシナジーをベースに新規事業を構築したからこそのエッジ。

またメルカリの顧客基盤を流用することによる、集客の強さもアッテの強みだ。メルカリからの導線により数百万単位のUUが送り込まれる(らしい)。*3

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スライドによるとメルカリでの経験もあり、アッテでははじめのアーキテクト構築時からpushによる瞬間負荷に耐えるオートスケールノウハウが適用されており、盤石の様子も伺える。

プロダクト

  • サーバーサイド : GO+GCP
  • クライアント : おそらくswift(iOS) + Kotlin?Java(android)
  • データ分析環境 : BigQuery + Repro
    • データは改善ポイントを、動画はhowを教えてくれるのでこの組み合わせは僕も好きです

アプリの各所にデータポイントを仕込んで、投稿数や登録率、離脱率などの重要指標を見ていました。このような数値分析には、メルカリも使っているBigQueryで直接データベースを見られる仕組みと、「Repro(リプロ)」を使っています。
Reproは、ユーザーが実際にどのようにアプリを使っているかを「動画」で見られるツールです。ユーザーが離脱した時の動きや、どこで迷っているか、ということを動画で見ることができます。*4

展望とひとこと

  • クラシファイドにおけるマッチングは商材の多様が良い点でもあり、難しい点でもある。例えばアッテの中で展開されている「商品 」は大別すると以下のとおりだ。
    1. 商品や手渡し(リアル・メルカリ)
    2. 仲間集め
    3. サービスの提供
  • 上記のサービス群の中でも更にカテゴリがあり、カテゴリごとにマッチング最適化のための施策は異なってくる。今後は商材毎にマッチングをどうやって最大化していくか、といった論点を解いていくフェーズではないかと見ている。
  • またアッテはECではないので、コンバージョンポイントがアッテ内では完結しない。マッチングした相手とコミュニケーションを取り、実際に物を受け取ったり、サービスを受けたりすることがゴールとなる。これはすなわちコミュニティであり、商品だけでなくコミュニケーションをマネジメントしていく必要がある。
  • クラシファイドに近い領域といえばご近所SNS「マチマチ」も本年に入ってから立ち上がっており、ローカルコミュニケーションは熱を帯びてきている。コミュニティは最終的に一つのプロダクトに集約されていくと見られ、この点で陣取り合戦の模様を呈してきている。

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