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「参入障壁」とは何者か

かの著名な投資家、ウォーレン・バフェットは「高い参入障壁を持つ企業に投資する」という明確な投資基準を持っている。

そこで思った。はて、参入障壁とはなんだろうか。


企業体、とくにスタートアップは「高い到達点を、高い資本効率(スピード)」にチャレンジする。この到達点を目指す上でもっとも重要なのが「競争を避け」「小さい市場を独占する」ことだと言われる。

「参入障壁」とはこの独占のための必須要件という見方ができそうだ。

例えば、ピーター・ティールの「縦に独占しろ」やポール・グレアムの「Do Things That Don't Scale」は「複雑で誰もやりたくないことにチャレンジするから、参入障壁が生まれやすく、小さな独占が可能になる」とも読み替えれるように思える。

テスラ、スペースXを考えても、これら企業の鍵は複雑に絡み合った縦の独占にあると思います。テスラやスペースXには世に大きく騒がれる大きなブレイクスルーがあったでしょうか。もちろん彼らの功績は素晴らしいですが、一時的に大爆発するブレイクスルーはなかったはずです。彼らが素晴らしいのは様々な要因を縦に組み立ててここまで発展してきたということです。テスラは自動車販売業者を取りまとめて、彼らの受け取るべき利益を販売業者に持っていかれないようにしました―これはアメリカの自動車業界ではよくあることなので―。スペースXも同じです。

他方で、逆説的に競争に巻き込まれるために必要なことは「トレンドを追うこと」だ、というのはある種の真実のようだ。

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参入障壁についての考え方

では参入障壁は具体的に何か。 自分なりに日本企業の事例をインプットし、考えてみると以下3つ全ての要素を持ったものが参入障壁になっているように思われた。

  • 暗黙知として、研究されにくい
  • 後追いの構築にお金と時間がかかる / 心理的に真似したくない
  • 長い間資産として活躍でき改善プロセスを内包している

たとえば、

  • ファナックにとってのオートメーション技術そのものが暗黙知として参入障壁に。
  • ヤクルトにとってはセールスレディ集団。
  • カルビーにとってはtoBセールスチームと小売棚の独占。
  • ミスミにとってのオンデマンドデリバリープロセス。
  • 総合商社においては途上国国営企業とのリレーション。垂直統合。
  • プルデンシャル生保にとってはセールスの高速教育プロセス
  • メルカリにとってのネットワーク外部性
  • トヨタのTPDとTPS
  • キーエンスのコンサルティング力(営業力)とオンデマンドデリバリープロセス。
  • パーク24のカーシェアリング

などが参入障壁になっているように自分の目には映った。

ジョブへの理解が発明を産み、発明によってユーザーを獲得する。その一部が継続的に磨き込まれ参入障壁となり、次のジョブや発明へ向かえる。そんなプロセスをもつ企業体を構築する必要があると考えている。

コンテンツは参入障壁になりにくい

少し話はそれるが、今は「コンテンツ自体を参入障壁にするのは難しい時代」だ(反論たくさんあると思いますが…)。

ある例として、カルビーはフルグラの中国シェア拡大においてアリババへ販売のほぼすべてを依存している。この件について松本会長は以下のように答えているが、これを僕は典型的なポジショントークと捉えている。

アリババをはじめ、プラットフォームビジネスの運営会社には大きな弱みがある。彼らは、自分では商品を作っていません。もちろん売る人も強いんですが、しかし、モノをつくっている人ほど強いんですよ。

世の中がオープンになるに連れて、良いコンテンツというのはすぐにリバース・エンジニアリングされ、パクられうる。

フルグラのような「コモデティ」もそのリスクにさらされやすく、パクるまでのリードタイムもさほどかからない。アリババがフルグラを作らないのはROIの問題であり、その気になれば膨大な顧客の志向データを元にカルビーよりも遥かに良質で、大量の商品を製造することは可能なはずだ。

この戦略をアパレルでとっているのがZOZOTOWNのオリジナルブランドになるだろう。 また、じげんはIRの中で同様の戦略を明示していたりもする。

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コピーの簡単なコンテンツはさらに早いスピードでパクられる。それだけでなく、消費者のトレンドの移動速度も早い。 コンテンツは、それのみでは参入障壁を構築しにくい時代だと感じている。どんなコンテンツも「生産の一般化」という危機にさらされる限りは。

デリバリーを握る

「コンテンツが参入障壁になりにくい」の逆説として、顧客のニーズと対面する「デリバリー」を握ることが現代の参入障壁の鉄板とも感じられる。

Google, Facebook, Gunosy, Cookpad, Netflix など、一定領域で強いポジションを築いているIT企業は、総じて「情報を届ける仕組み」に強い価値がある。

同様にセブンイレブンやイオンなどは「モノを届ける仕組み」で強いシェア(店舗数)を創り、小売の上位に固定された。この戦争はドラッグストア業界にも持ち込まれている。コンビニが店舗数を争うのは、デリバリーのマインドシェア合戦をしているからとも見れる。

「野菜そのものより、野菜を多くの顧客の手に取ってもらう工夫」は参入障壁となりやすい、という解釈をしている。

おわりに

企業にはいろんな意義や意味が乗っかりやすい。それは多くの人の思惑が交差する複雑系を形成しているからだと思うが、ゴーイングコンサーンを前提とする以上、「参入障壁創るゲー」というのもある種の真理に思えた。