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『voyagin(ボヤジン)』 - 「インバウンド」で外貨を稼ぐ”コト”のairbnb

プロダクトインサイト vol.2

様々なC向けプロダクトをYamottyの視点でざっくり斬るこの企画の2回目は『Voyagin(ボヤジン)』にスポットを当てたい。 ところで、Voyaginをご存知のかたはどのくらいいるだろうか?失礼な話だが僕がVoyaginを知ったのはここ数日の話だ。

Voyagin、というその名前の通り、『旅』✕『テクノロジー』の領域でサービスを展開している。具体的には”アクティビティのairbnb”といえば伝わりやすいだろうか。

Voyaginは旅行体験のフリーマーケットです。
「旅行者に体験を提供したい」と思う現地の人が企画した、
『普通の生活が垣間見れる』いままでにないユニークなツアーを探すことができます。*1

掲載されているるアクティビティ商材を見ていくと、インバウンドターゲットの国内商材とインドネシア等アジア商材へ大きく分類されるようだ。

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国内で最も人気なスポットはやはり東京とのこと


旅xテクノロジー領域で名前が売れている国内スタートアップといえば、

  • キュレーションメディア『Retrip』や旅行SNS『トリッピース』を手掛けるトリッピース
  • JTBと資本連携した、アクティビティ予約サービスを手掛ける「asoview!」を運営するアソビュー

あたりが筆頭だと思うが、正直Voyaginの名前を聞く機会は彼らより多くはないおちうのが本音だ。

ところが、Voyaginは2015年に楽天へ株式の過半を売却(Exit)し子会社化している。国内最大級の宿泊予約サービスと成長した「楽天トラベル」とのシナジーを考えると、彼らのポテンシャルは高いようにも思える。

Voyaginの攻めるマーケットは?注力領域は?Cutting Edgeなポイントは?代表の高橋氏に話を伺う機会があったため、簡単にまとめてみたいと思う。

目次

『Voyagin』概要

f:id:yamo3:20160718230326p:plain 「旅行体験のフリーマーケット」を標榜するVoyagin

ジャンル : サービスEC

  • ジャンルとしてはマーケットプレイス型のサービスEC(CtoC、BtoC混合)に相当する。
  • 類似するモデルとしては、前回紹介したクラシファイドサービス『メルカリ アッテ』やスキルのマーケットプレイス『ココナラ』、そして競合の『asoview!』なども近いモデルである。

ターゲット : インバウンド訪日外人旅行客

Voyaginが注力するのは「日本国内へ旅行する外国人観光客」すなわちインバウンドがメインターゲットだ。その他にもフィリピンやタイといったアジアにおいてもサービスを展開している。

主な市場は東京、京都、沖縄,およびバリだが、Voyaginは、その他の東南アジアおよび中国にも拡大する計画だ。*2

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代表の高橋氏に伺ったところによると、直近では国内、特に東京が最も成約が多く、注力しているエリアだそうだ。

また集客面ではSEOに頼るところが大きいため、「サーチでひっかけやすい」「インバンド客が関心を持ちやすい」「アクセスしやすい」という3つの最小公約数を考えると、東京や京都・大阪近郊を攻略するのは戦略的にも正しいだろう。

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ビジネスモデル : 成約課金・手数料モデル

現状のビジネスモデルはCtoC or BtoBtoC(代理販売)が混同したサービスEC。基本的には成約課金の手数料モデルだ。

しかし立ち上げ期には代表・高橋氏の原体験を元にCtoCでのサービスECとして立ち上がったVoyaginだが、紆余曲折を経て、「ユーザーにとっての価値」にフォーカスを当てた結果、Bが取り扱う商材の掲載(代理店事業)を決定したようだ。

「それまでは CtoC型のマーケットプレースというこだわりがあったのですが、BtoC の商材も仕入れて販売するようにしました。利用者にしてみれば、予約したいアクティビティがあるかどうかが重要、それが CtoC かどうかは関係ない。利用者によりよい旅行体験を提供するという目的に立ち返れば、CtoC へのこだわりは足かせでしかありませんでした。」(高橋氏)*3

こういったPivotの背景には、お決まりのタフな創業期ストーリーがある。TechCrunchの記事によると、シードファイナンスした資金が底をつき苦しい期間を過ごしたそうだ。

同社は2012年3月にデジタルガレージから資金を調達。Voyaginのサービスを開発してきたが、サービスは鳴かず飛ばずという状況だった。
「失敗は一気にアジア8カ国に展開したこと。自分たちでは『こうやればうまくいく』という思い込みだけがあって焦りがなかった。自分だけじゃなくてみんな苦しいから創業期より『地獄』だった」(高橋氏)——3人いる役員の報酬は10カ月ストップした。さらに資金が尽きる前にブリッジの調達(次の調達ラウンドの手前に「つなぎ」の資金を調達すること)を行おうとするも、そんな状況の同社に出資するベンチャーキャピタルはいなかった。*4

ProductMarketFitを目指す前に商材のスケールを広げてしまい、「誰のどんな課題を解決するプロダクトなのか?」という輪郭が出ないままオペレーションに追われ、トラクションが得られなかったようだ。

しかしショート寸前のところをインド系VCからの出資で乗り切る。海外VCからの調達という離れ業の裏には、彼らの元へ飛び込んできたキレ者インド人(本人は「Indian Einstein」を自称している笑)の存在があったとか。

そのインド人スタッフは現在海外事業責任者として次の売上の柱を立てるべくアジアに張り付いて業務にあたっているとのこと。

一般的なCtoCサービスでは、消費者であるユーザーが出品者へ転換することで急激にスケールしていくことが期待される。この還流によってさらに商材が増え、良い商材がSEOやSNSアセットとなり、良いユーザーを連れてくる。

メルカリで買い物を楽しむヘビーユーザーが、出品者へ転換するのを想像してもらえればわかりやすいだろう。先の『アッテ』や『ココナラ』にも同様のことが言える。

しかしながら『Voyagin』や『asoview!』が手掛けるアクティビティという商材はこの還流が起きにくい領域の1つだろう。魅力的なツアーを一般人が組むというは難しく、さらにその魅力を的確にドキュメント化して伝えるというところにもハードルがありそうだ。

今後は楽天トラベルとのシナジーによって、ユーザー→出品者へのコンバートレートを高め商材のアセットを高く積み上げることと、ユーザーベースを広げていくところに期待できるのではないだろうか。

2020年に向けて最もHotなマーケットの一つ「インバウンド」

Voyaginが攻めこむインバウンド・マーケットは2020年の東京オリンピックに向けて最も風が吹いているHotなマーケットだ。観光庁は「ビジット・ジャパン」を掲げ、観光客数というKPIへ全力を注いでいる*5

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インバウンドマーケットは急速に拡大中。2016年は2,000万人突破の見通し


国の施策のセンスは正直「?」なところではあるが、これから伸びるマーケットであること、そして外貨獲得の巨大なチャンスであるため、GDPの2.3%を占める観光産業の稼ぎ頭として注力していく方針を掲げている*6

なおインバウンド市場はすでに4兆円市場であり、2020年に向けておそらく倍の水準へ伸びることが期待されている。

既に開発チームも多国籍化

連続的な積み上げ成長ではなく急成長を目指すスタートアップの場合(それも特に日本の場合)、アーリーステージの開発チームにカルチャーの違う海外エンジニアとチームを組んでいくことは難易度の高いトライだとみなされることが多い。しかしVoyaginは積極的に海外出身のエンジニアを採用している。

「開発チームにも日本人のほかにロシア、フランス、インドネシアといった海外出身のエンジニアが所属しています。バックグラウンドが異なる人々が集まりながらも、みんなでいいものを作っていこうという気持ちでつながっている。新しい技術や課題に積極的に挑戦を続けるチームに育てていきたいですね。」(林氏)

ニッチなマーケットで、大手が参入する前に市場で勝ちきるスピードがもっとも重要なため、コミュニケーションロスの少ないメンバー、平たく言うと昔からの知り合いや仕事仲間でチームを組むのがベストだと言われている。

ただしvoyaginの場合、海外から日本へ訪れる旅行客をペルソナと置くサービスのため、多国籍チームを組むことでユーザー心理の理解が早いという別の大きなメリットを手にしているのではないだろうか。エンジニアも「サービス志向」が求められるスタートアップ環境においては、実はベストプラクティスの一つになるのかもしれない。

If I were the PM if "Voyagin"

さて最後に「もし僕がvoyaginのプロダクトマネージャーなら何から手を付けるか」について考えてみたい。ざっと3点にまとめてみた。

  1. MD(商材)の分類と注力
    • 一般的なメディア運営では、集客用商材(for SEO, SNS, other)と売上確保商材、そして利益確保商材は特性が異なる。
    • 現状すべての商材がフラットに取り扱われているように見えるので商材の分類と注力化はすぐに実施したい項目だ。
  2. クロスセル
    • アクティビティは「宿泊」「移動」とセットである。
    • 「楽天トラベル」が保有する「誰がいつどこに宿泊するか」のデータを利用し、近郊5km圏内のアクティビティレコメンドを行う仕組みがあれば関心層喚起に繋がりそう。
    • 移動をUberとセットで販売するのも面白そうである。
  3. ポケモンGOアクティビティ

まとめ

  • こういったアクティビティ予約を行う旅行客は、「普通のパッケージツアーはつまらない」という旅の玄人が多いはず。
  • 僕自身、バックパッカーとしての経験もあり、まわりの旅慣れた人には共通して「Search力が異様に高い」という傾向がある。見慣れぬ土地で身を守りつつ旅の楽しみを最大化する上で必須のスキルなのだろう。
  • そういった層に対してきちっと刺さるコンテンツをオペレーションで当てていく、というのがユーザーにとってもサービスにとっても価値の大きいところじゃないかな、とおもいました。

シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界

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